石破首相退陣が齎す暗雲-国民の選択は逃げるか諦めるか⓶
まとめサイトから動画時代へ
写真:白山市のフリー写真素材より
石破政権退陣の理由が先の選挙戦にあるとのことであるが、その影響力として、動画サイトやSNSを考慮せざるを得ない。
マスコミ不信は10年以上前から存在してはいるが、具体的な選挙戦で本格的に影響が現れるようになったのは先の兵庫知事選である。
安倍政権はマスコミをコントロール出来ていたこと、ポピュリズム政権故に大衆心理を上手く掴めていたことから、左派活動家や立憲、共産以外の政党から目立った倒閣運動は起きなかった。
強い保守的なイデオロギーを全面に打ち出した外面とは裏腹にリベラル政策を実行していたが、当時はネット界隈も現実の経済界も安倍氏を評価する意見が主流であったから、コロナ禍以前は政権運営も上手くいっていた。
尤も、政権運営が上手く行っていたと言っても、メディアに問題が無かったわけではない。
この頃には「マスコミの偏向報道は嫌いです」と言っているネットアカウントは多く存在した。
では「マスコミの偏向報道が嫌いな方々」は一体どこに行ったのか。
それはネットメディアである。
2010年代中盤では[アノニマスポスト]や[保守速報]などの「まとめサイト」が猛威を振るっていた。
まとめサイトの1つであるネットギークは提訴されることとなり、概ね今も息をしているサイトは[ShareNewsJapan]くらいではなかろうか。
最盛期は1日15記事ほどアップしており、月の収益は100万円ほどあった時期もあったようである。
では[ShareNewsJapan]以外のまとめサイトはどうなったのか。
一部は閉鎖、ネットギークは更新頻度の激減が起きている。
それはネット民の気質が変わったわけではなく、ネットにおけるトレンドの変化が起きたに過ぎない。
ネットのトレンドはまとめサイトから動画サイトへ変化した。
尤も、個々のメディア自体は偏向していることに変わりはない。
岸田政権で「右から」の倒閣運動が盛んに
安倍政権、菅政権までにおいて、倒閣運動は左からがメインであった。
岸田政権になってから潮目が左から右に転換しつつあり、石破政権は完全に右からの倒閣運動であった。
安倍政権時代に「安倍辞めろ」と言っていた面々が「石破辞めるな」と言い、反対に「安倍総理ガンバレ」と言っていた面々が「石破辞めろ」と言うようになったのである。
新興政党の勢いも見逃せないところであるが、中でも参政党は日本で唯一「特定商取引法に基く表記」がある政党であり、同政党が理想とする国家像は「国家社会主義」である。
加えて排他ナショナリズムと陰謀論、スピリチュアルや不透明な組織体制は、立花孝志氏すら「危険な政党」と断じており、石破政権を最も揺るがすことになったのは、正に参政党の台頭と言っても良い。
そして石破首相の退陣は「最後の理性の終わり」或いは「理性の時代の終焉」と言っても良いだろう。
逃げるのか諦めるのか
海外の情勢を見ても日本の様子を見ても先行きは明るくはない。
排他ナショナリズムが隆盛を極めているが、例え日本人であっても「個々人で事件に巻き込まれぬ防衛策」は必要になるであろう。
昨今は「パートナーを得られず鬱積した男性」による事件も少なからず起きている。
そうした流れを止める術はないであろう。
そうした時代を前にして、諦めて巻き込まれる危険性を受け入れるか、或いは大都会から逃げて少しでも危険から遠ざかるのか。
選べる選択肢はその2つになるのではなかろうか。
