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介護事業者の数を半分に減らせ!!!話はそこからだ⓶

転職に於いて重要なことの一つに、利益率が低い企業はブラックである可能性が高いというものがある。
利益率が低ければ当然、人件費に大してお金を回せないからである。現に介護職は4人に1人がサービス残業をしていると言われており、ブラックな労働が為された業界であることは多くの人が知るところである。
いや、サービス残業という言い方は良くないな。サービスに対しては対価を支払わねばならない。無賃残業というべきである。

中小事業者のコンプラ意識は当然低い

本来、介護の仕事と言うのは人命に関わるものであるから、専門教育を受けた職員によってサービスが提供されなければならない。介護職員は単に技術があれば良いというものではなく、高いホスピタリティが求められるプロフェッショナルでなければならないはずだ。
しかし、介護職の現実は悲惨である。今の介護職の置かれた境遇というのは「キャリアの墓場」なのだ。
ある程度年齢が行ってしまい、他の未経験職種には行けない人が介護にやって来るということが起きてしまう。慢性的な人手不足だから、事業者側も(余程コミュニケーション能力に問題が無い限り)誰彼構わず取ってしまうというわけだが、4人に1人が無賃残業をさせられているということから、少なく見積もっても25%の介護事業者はブラックである。こうした事業者の場合、ともすれば36協定すら結んでいないケースもあるだろう。
仕事で介護職の管理者と関わることが稀にあるのだが、地方の小規模事業者ともなると、情報セキュリティに対する危機意識も希薄である。
「なぜこんな杜撰な取り扱いしたし」と言えば「金がない」の一言で全て解決される。
その時は「こんなんじゃ介護事業者の認可取り上げられるぞ」と発破をかけたものだが、地方の中小介護事業者のコンプラ意識など本当に「その程度」の認識しか無いのだ。よってサブロクを結んでいない事業者が4社に1社あったとしても、何も驚くことは無い。
こんなだから介護業界はブラックと評判になり、敬遠され、キャリアの墓場となり、サービス品質の低下に繋がる悪循環が起きている。

当然ながらIT投資はできずサービス品質低下で地獄と化す

現状でも悲惨な介護の現場だが、本当の地獄はこれからである。
今後直面する問題は「介護職員の高齢化」である。現状の介護職がキャリアの墓場と化しているのだから、介護職は平均年齢が高い。介護職員の平均年齢これは公益財団法人:介護労働安定センターの提示した平成17年の介護職員の平均年齢である。
この表で悲惨なのは40代以上で勤続1年未満が約半数もいるということである。ここからして介護職が「キャリアの墓場」と化していることがわかるのだが、16年経った今は、これより更に平均年齢が上がったと見るべきであろう(そもそも日本の平均年齢が48歳である)。
介護職の担い手が減少する、ないし、老々介護と化していく介護現場を円滑に回すためには、ロボット投資が必要不可欠だ。だが、介護は最もIT化の進まぬ業界である。ハッキリ言って全業界で見ても介護業界のITリテラシーの低さは最悪と言って良い。ITベンダーも介護業界は金にならないから売り込みをかけないし、多くの中小介護事業者は金がないからIT化しないのである。
タイトルは煽るために「介護事業者の数を半分に減らせ」と書いたが、冷静に考えれば考えるほど「5割減じゃ足りない」のだ。横浜市だけで1470事業者も存在し、その内35%が恒常赤字、35%はギリギリ黒字と見れば、残りの3割だけで充分であろう。だいたいからして個々に事業者が存在しているから請求業務まで個々の事業者で行われる。
国保連への請求は毎月1日~10日の間にやらなければならないのは固定であるが、月イチ業務なのであるから、いっそアウトソーシングをしたいところだ。だが、介護事業者には請求業務をアウトソーシングするための金すらないため、現場を兼ねるOA機器が嫌いなオバちゃんがイライラしながら請求業務をしてたりする。これが1日でも遅れたら事業者の存続に関わるのだからイライラするのは当然と言えば当然であろうが。
介護職員が高齢化し、ロボットの活用が進まない場合、それは利用者の利便性に跳ね返ってくる。いや、利便性どころか安全性すら確保すらが怪しいところだ。
アトキンソン氏の中小企業再編論は反発が多く沸き起こったが、介護業界を見ていただきたい。明らかに再編が必要である。
個々の中小事業者には金がない。金がないから残業代も払われないし、IT投資も進まない。IT投資をしても介護職員まで高齢化してきているから、機器の操作を覚えられない、情報機器、情報資産の扱い方を適切にコーチングできる存在がいない。危機はこうして進行しているのである。
これを解決するには介護事業者の統廃合を行い、介護事業「者」数は現在の10分の1まで持っていくことが必要だ。介護事業「者」数を統廃合で減らすことによって、介護業界全体に掛かっていた間接費(特に請求業務に掛かるコスト)を集約・削減することができ、IT投資も出来るようになろう。ここで言うIT投資とは単に設備・ソフトの導入だけでなく、それを適切に管理・指導できる人材確保も含めてのIT投資である。
中小の事業者数が多すぎることによって労働者の賃金は上がらず、投資余力も生まれず、サービス品質も向上しない。それは労働者にとってもサービス利用者にとっても不幸な出来事であり、介護業界再編は急務なのである。

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生活問題   2021/11/13   センチュリー・大橋

介護事業者の数を半分に減らせ!!!話はそこからだ⓵

デービッド・アトキンソン氏が中小企業再編を唱えた際、それは大きな反響(というより反発)があった。
日本は中小企業が多すぎる。中小企業が多すぎることで生産性が上がらず、賃上げに抑止の作用が働くため、統廃合によって強化していこうというのがアトキンソン氏の論である。
少なくとも私の周りにはアトキンソン氏の主張には反対の声しか上がっていないが、私自身は敢えてこの論には賛成の意を示したい。何せ「中小企業の事業社数が多い」ことで生産性が上がらない業界があるのだ。それもごくごく身近にである。
その業界は介護と言う業界である。

横浜市だけで1470事業者

最近、ようやく介護職員の月収が9000円アップするというような報道が流れたが、愛知県医労連は「桁が一つ少ないが、これでも声を上げ続けた結果だ」という旨のツイートをしていた。介護職員は薄給であることで知られ、どれだけ求人をかけても人は応募してこない状況である。
ではなぜ介護職員の給料が低いのかと言えば、介護事業者のおよそ3分の1が赤字だからである。昨年(2020年)の通所介護に至っては42.5%が赤字、デイサービスに至っては90%がコロナで経営悪化をしている。
とは言え「介護のニーズは上がっていくのに何故赤字が出るのか」とは思わないだろうか?
一重に言えば、介護事業者の数が多すぎるのだ。

全国の介護事業所の数久留米大学大学院:田 栄富氏の論文より

これは介護事業「所」の数であるが、見ての通りなかなか多い。
と言っても大事なのは介護事業「者」数であるので、参考までに横浜市の認定介護事業者の数を数えてみたら1470事業者もあった。医療法人が多いが、ライオンズマンションを登記しているような事業者もあり、大半が中小事業者である。

事業者多けりゃ原価率も高い…

久留米大学大学院:田 栄富氏の論文より
単純に事業者数も多いことながら、利益率も低い。訪問介護、訪問看護に至っては支出の8割を人件費が占める。居宅介護支援など悲惨だ。
だが、当然支出とは人件費だけで全てではない。例えば介護保険制度によって利用者の自己負担率は1割ではあるが、残りの9割の部分は毎月1-10日の間に国保連合会へ請求をしなければならない。国保連への請求業務は専用の請求管理ソフトを使うのだが、このソフト、結構高い。一番安いと言われる国保中央会の介護伝送ソフトで60,000円する。一番安いソフトなので、安かろう悪かろうなのだが、このソフトを選んだ事業者は大抵、請求業務に苦労すると評判である。
介護伝送ソフトは基本的に自力で何とかしないといけないため、しっかりとしたサポートを受けるにはベンダーソフトが良いということになるのだが、それはそれで結構な値段がするわけで、ベンダーにお金を払えない事業者は泣く泣く介護伝送ソフトしか買えないということになるわけだ。
ここに加えて、今後の介護はロボットを活用していかなければならない。表では2007年から2016年の間に人件費の割合が減ったように見えるが、サービス受給者数に労働者数が追い付いていないことでそうなったのかもしれないし、他の要因もあるかもしれない。ただ、今後はロボットやITへの投資が出来るかどうかも肝になる。だが、介護事業者の多くは中小企業にして、約35%は恒久的に赤字である。ギリギリ黒字を保ててる事業者も凡そ35%と仮定すれば、実に7割の事業者はITやロボットに投資する金はないということになる。これで生産性の向上や賃金上昇というのは夢のまた夢であり、寝言に近い域となってしまう。正にアトキンソン氏の言う「中小企業が多すぎることで生産性が向上出来ない(賃上げもされない)」状況そのものである

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生活問題   2021/10/17   センチュリー・大橋
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