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三菱重工:年初以来の株価最安値を記録する✈

コロナ禍で混乱した株式市場は冷静さを取り戻したものの、重工産業の株価の下落は再び4月の様相を醸し出している。
川崎重工、IHI、三菱重工と3大重工とでも呼ばれる企業の株価が乱降下した。
どれも航空部品においてボーイングへの依存度の高い企業となっているが、中でも三菱重工の下落は激しく、年初以来の最安値を記録してしまった。
果たして何がここまで株価を押し下げたのかを見てみたい。

イージス・アショアの失敗

恐らく今回の三菱重工最大の株価下落要因はこれだろう。
2020年度は概ね赤字を想定している三菱重工だが、この予測は川崎重工も変わらず、IHIに至っても造船がうまく行っておらず赤字。
単に業績だけ見た場合、三菱重工は他2社と比べて格別悪い要素はない。
IHI、川崎重工ともに大きく下落しているが、三菱重工の下落ぶりは他2社を抜きんでており、年内最安値を更新してしまった。
経済活動は再開しているのに株価下落をした理由、ただでさえMRJが金食い虫で成功の兆しが見えない中、イージス・アショアの失敗は大きく尾を引いたのかもしれない。

三菱重工に潜む会計リスク

三菱重工の会計リスクはコロナ以前から指摘されていたことなので、コロナによって会計リスクが表面化したとも考え難いが、ともあれ三菱重工が国際会計基準に基いた財務諸表作成を行っていることが一つのリスクとみなされている可能性がある。
IHIは赤字で終わっているが、三菱重工は黒字となっている。ただし、黒字と言っても従来の日本式会計基準で財務諸表を作成した場合、赤字であったことも考えられる。

好材料はあるのだが・・・

一応、重工業企業としての三菱重工は航空メーカーとして有名だが、プラント事業の方は優秀だ。
バイオマス燃料プラントの実証実験が9月からの2021年の10月まで行われるが、商用が実現すればバイオマスプラントの面では世界を牽引できる起爆剤となりえる。
三菱重工サーマルシステムズのビーバーエアコン2020年モデルSY/SYKシリーズはウイルスの抑制効果も確認されたとのことから、コロナウイルスの感染抑制のため、需要が起こる可能性はある。
とはいえ三菱重工は兆単位の金を動かす企業であることから(社訓通り三菱は国家クラスの資金を動かしている)比較的少額な製品であるエアコンの売れ行きがどこまで三菱全体の経営にプラスになるのかは難しいところだ。
なお、防衛関連事業はコマツ製作所が採算性の悪さに装甲車受注から撤退したことがある。
防衛関連での利益が高くないことは三菱重工にとってもあまり変わらないようだ。
6月26日段階における三菱重工の信用取引状況は買い残高の株数は1,333,100株。売り残高は710,300株となっている。
少し先を見渡すと売りに出られる要素が多くあり、まだまだ安定した動きにはならなそうである。
重工関連   2020/06/27   センチュリー・大橋
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