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川崎南武物語-どんなに気取っても小杉は川崎:南武線沿いなんだよ‼❶

令和元年、台風19号。風は殆どなかったものの降水量が凄まじく、多摩川は氾濫したことが話題になっていた。
水位の下がらない多摩川を前にして小田急と京浜東北線は立ち往生し、しかしなぜか動く京急を前に私は川崎にいた。既に川崎勤務から抜け出していたにも関わらず、とりあえずステーションメモリーズ、略して駅メモのメモリールートというのもを作りたくて蒲田を目指していたのが実際だ。
しかし京浜東北線は動かず、かといって歩いていくのは億劫だったため、結局は川崎で過ごすことになる。
台風が過ぎ去った川崎の河口部。どうやら河口部は被害が極めて少なかったらしく、蒲田民と川崎民は台風19号で増水した多摩川を観光して楽しんでいた。
台風19号後の多摩川:大田区側から撮影(六郷土手)
夕日をパシャパシャスマホでパシャ。不謹慎ながら台風が来ない限り見れない湿原の登場により、多摩川観光を楽しむ地元民達は普段見れないその絶景をカシャカシャカシャカシャ撮っている。そこに川崎民の逞しさを垣間見た気がしたと同時に私もまた、普段見れないその絶景は不覚にも心を奪われるものであった。
そんな刹那、武蔵小杉でとてつもない事件が起きていたことを、ネット経由でしることになる。

タワマントイレ狂騒曲

ネットニュースを見た時、思わず「小杉に行かなくて良かった・・・」と胸をなでおろしたものだ。
マンションの扉が腰まで埋まるほどに茶色い物体が扉を埋め尽くしている。道端は全て茶色。
「多摩川の土砂が流れ込んだのか?」
そうではない。雲鼓である。
前回の台風15号では電車の中で雲鼓を漏らしてしまった乗客がいた。そして台風19号ではタワマンから雲鼓が漏れてしまったのである。
南武線は台風15号で脱粉電車の名前を欲しいままにしたが、武蔵小杉は雲小杉の仇名を獲得した。それどろこかJRにまで風評被害が及び、横スカ線の蔑称まで送られることになる。そして悲しいことに、武蔵小杉タワマンのトイレ故障の原因は多摩川氾濫が全く関係がない。
そもそも武蔵小杉は多摩川まで約1㎞離れているし、多摩川氾濫のせいなら向河原駅は水浸しであり、南武線は動けない。

中河原駅や平間駅の方が多摩川は近く、もっと言えば川崎駅も多摩川は駅から500mしか離れていない。そのため、小杉が多摩川氾濫の影響を受けていたら、私は川崎駅に辿り着けていなかったのだ。
武蔵小杉駅前の汚泥プールは下水処理が限界に達したために発生したもの。そして一部のタワマンで低層階の住民はトイレ使用禁止になり、上層階と低層階の住民で争いが起こったという。そしてなぜか風評被害を受けるブリリア武蔵小杉(実在のマンション)の有様を見るに、山間部では道路が流されたり地形が変わって孤立した人がいて大変な思いをしているというのに、武蔵小杉は全く別の方向性で大変な惨劇が繰り広げられている。
武蔵小杉のタワマンはワンルームで5000万円もした高額物件だったのだという。だが、一度トイレ使用禁止令が発令された物件が出現し、下水が噴出した武蔵小杉のタワマン街は、外の街ですら何度か雨が降ってくれなければ浄化されないであろう。正に御不浄である。今後は武蔵小杉の地価は下がり、タワマンは売りに出される部屋が出てくるだろう。
しかし、仮に売りに出された部屋が出たところで、低層階は雲鼓にまみれたかもしれない。よもや事故物件なのだ。
結局いくらハイカラぶっていても、武蔵小杉は川崎の宿命から逃れられない。紛れもなく武蔵小杉は南武線沿いであり、決して横浜にはなれないのだ。それが南武線クオリティー、カワサキ。
今後も台風が直撃するたびに川崎では雲鼓の話が出るのであろうか。ああ・・・今日も川崎は荒れている・・・。

  2019/10/15   センチュリー・大橋
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