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白浜町に見る地方再建:トランスフォーメンションはビジョンから

白浜町:円月島(後ろから撮影)

デジタルトランスフォーメーションは言葉だけが一人歩きをし、各企業や自治体のトップは「DXの取り組み」なるものを打ち出しているが、実体は以前と何も変わらないままであることが珍しくない。
どことなくDXを単に業務のデジタル化の範囲で留まっている認識を持つ組織のトップは少なくない。
そもそも業務のデジタル化なるものはDXなど言われなくとも大なり小なり、どこもやっていることであり、今さらデジタル化を叫んだところで無意味である。DXはデジタルとトランスフォーメーションの2つの単語で構成されているが、本当に重要なのはデジタルの方ではなく、変革だ。
今後、組織がより良い発展をする上で、どんな姿があるべき姿であり、現状はどのように乖離しているのか。その解決にデジタルがどのように関わっていくのかを模索し、実践していくのがDXと言えるだろう。そうした意味では、DXの成功事例というのはなかなかに集まらないものではなかろうか。
尤も、DXの成功事例とは言わずとも、トランスフォーメーションに本気で取り組んでいる例はある。今回はそうした自治体の一つ、白浜町の例を見てみよう。

白浜町の掲げるシラコンバレー構想

「あの丘の上で何かやっとるみたいなんや。まぁ金になるようなことをやってるんやろうな。」
地元の住民はそう言って浜辺から丘の上の方向を指さす。
温泉で有名な和歌山県にある小さな町、白浜町。人口は22,000人程度の小さな自治体だが、夏は多くの観光客で賑わう白良浜がある。
海の水は大変綺麗で、三段壁や千畳敷、円月島など人気の夕陽のスポットも抱える白浜町は、観光客が年間300万人訪れる。
産業形態としては観光産業が盛んであるが、現在、白浜町が積極的に呼び込んでいるのがIT産業だ。
働くと休暇を同時に行うワーケーションも2017年から導入しており、小規模な自治体ながら先進的な取り組みを行っている。
町内にあるITオフィスは第一オフィス、第二オフィス共に満室状態であり、産業誘致はなかなか上手く行っている自治体と言えるだろう。
そんな白浜町が掲げているビジョンがシラコンバレー構想だ。その名前の通り、白浜版のシリコンバレーを目指すというものである。
この取り組みはゴール地点としては白浜町のシリコンバレー化をゴール地点としたものだが、この取り組み自体は白浜町のみでやっているわけではない。和歌山県、南紀白浜空港、NEC、ホテルシーモアなど、複数の顔ぶれがシラコンバレーを創るための活動に関わっているのだ。

組織の枠組みを超えて動ける変革を起こせるか

シラコンバレー構想を見ていくと、デジタルトランスフォーメーションで求められていることというのも、大まかに見えてくるのではなかろうか。
白浜町は発展にあるべき姿として「シラコンバレーを目指す」というビジョンを打ち出している。その「あるべき姿の実現」に向けて、白浜町として持っている強みは何かを把握しつつも、シラコンバレー実現に向けて「どんなパートナーと行動するべきか」も良く割り出していると言えるだろう。
単にRPAを導入するであるとか、書類をデジタル化する、テレワークをするなど、これ自体は単に業務のデジタル化の範疇でしかない。根本的に大事なのは変革を起こし、その上でどのように組織や社会を良くしていくのか。ここが重要なトランスフォーメーションだと言えるだろう。
果たして本気のDXは一企業、一自治体の組織内だけで完結するものなのかどうか。本当に変革を起こすために必要なのは一組織主義的なものではなく、いかにコラボレーション力を強くしていくかではなかろうか。
白浜町はしシラコンバレーを目指すという、ある意味で明確なビジョンを持っていた。その目指す方向性に向かってどんなタスクが必要なのかを割り出した上で、ワーケーションの先駆けになり、そこにNECの顔認証システムが関わっている。
トランスフォーメーションの出発点はビジョンから。自らの強みを活かして町の再建をしている白浜町。コロナの後押しもあり、白浜へのIT企業進出は加速するのかもしれない。

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和歌山県   2021/03/12   センチュリー・大橋
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