減税ポピュリズムの財源:国債
世界中で物価高は進行し、アメリカではK字型経済が形成されており、サブプライム層の生活は限界に近付きつつある。
日本の物価上昇は比較的緩やかであるが、下層の生活は良くならないことによる移民排斥運動や減税ポピュリズムが盛んだ。
財務省解体デモも盛んである。
尤も、解体した後のビジョンが全く示されないものであるが、増える税負担や社会保険料負担を前にして、日本版のサブプライム層が不満の声を挙げていると言うところであろう。
こうした財務省解体デモを下支えする言説にMMTがあり、自国建て通貨を発行できる日本は破綻しないと言うものがある。
三橋孝明氏のYoutube動画などを見ている面々が本説を信奉しており、国債発行で減税できるのに、それを財務省が阻んでいると言う理屈であろう。
こうした楽観論は昭和初期にも存在した。
と言うより、今日の財政法は昭和初期の高橋財政から1946年-1950年のハイパーインフレの反省から来ているものであるが、当時の証人が居なくなってきつつある今、歴史に対する反省は難しい。
かくして財政ファイナンスによって減税をすることを求め、財務省解体デモが行われていると言うのが2025年に於ける惨状である。
減税ポピュリストは外貨を持たない
(主に消費税の)減税が多くの国民から求められる中、その財源はどこから確保すれば良いのであろうか。
財務省解体デモの参加者達は「税は財源ではない」と言う言葉が飛び交っているが、もちろん税が財源ではないなどと言うことは有り得ない。
そんなことを政府が認めてしまえば日本国債は投げ売りされ、日本円は紙屑になるであろう。
積極財政を期待された高市氏が自民党総裁になった途端、円は主要通貨と比較して大幅に下落した。
米ドルのみならず、ユーロ、ポンド、豪ドル、NZドル、スイスフランなど、ほぼ全ての主要通貨に対して通貨安となったのである。
これ即ち、債権市場は日本の減税は歓迎していないと言うことだ。
通貨安とは言わば債権安であり、対外的な視点で日本円と言う通貨に付けられた価値である。
反緊縮界隈で出回る「自国通貨建再建は破綻しない」と言う言説があるが、これも正しくはない。
正しくはないが、高市政権の積極財政はこの「自国通貨建再建は破綻しない」と言う言説によって支えられている。
多くの日本人は外貨を保有していない
SNSで広く支持されている財源なき減税政策であるが、自国通貨建て国債が破綻しないと言うのは、事実ではない。
1998年のロシアルーブルを筆頭に、1980年から2018年の間に52カ国134件の記録があり、単純件数としては多い。
本来なら日本も1946年から1950年の間に100倍の物価高を記録した経験があるため、この歴史は語り継がれるべきであるが、何故か当時の物価高の原因は「供給能力を失ったため」と言う一言で片付けられ、コレキヨミクスから先の軍票と言う不換紙幣の流通と、それに伴うインフレは無かったかのように語られている。
80年前の日本は今で言えばiPhone1台1000万円、カローラ1台8億円と言う時代を経験しているのだが、その歴史は見事に忘れ去られたようだ。
多くの国民は円と言う不換紙幣に絶対の信頼を置いており、それを裏付けるかのように外貨の保有割合が少ない。

こうした過去の歴史を忘れた日本人が高市総理に積極財政を期待するのであるが、それをするほど国債市場に於いて信用が失われ、円と言う通貨が下落する要因となっている。
