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しくじりのワイドビュー:後悔先に立たぬ座るD席❷

思い込みというのはミスの元であり、それは仕事だけでなく旅行にも言えることである。
新宮を出てから名古屋まで、実に3時間を三重県で走行していくワイドビュー南紀。行きで南紀勝浦まで行くのみにあらず、帰りに名古屋まで行く特急券すらD席を確保してしまったことに、再び暗澹たる気持ちを抱えて南紀に乗車するのであった・・・。

失態を胸に南紀勝浦を後にする

ワイドビュー南紀:紀伊勝浦停車日本がIWCを脱退したのは2016年のことだ。その是非を考えるため、太地町に行き、ドルフィンリゾートにも立ち寄り、実に有意義な旅であったとは思っている。しかし、それでもやっぱり最後に待ち受けているのは帰宅であり、そしてD席を取ってしまったという<現実>である。
「いったい何故D席を確保してしまったのか…」
と言っては悔やみきれず、かと言って指定変更もしていなかったため、帰りもそのままD席に乗車となる。
なかなかに億劫な帰りではあるが、名古屋までの3時間50分の旅を精一杯楽しむこととしたい。
12:23発の特急南紀6号。コロナ禍ということもあってか、行きと同様に客の少ない南紀だが、いよいよ名古屋に向けて出発することになるのだった。

山側に座っているのが自分しかいない悲しみ

ワイドビュー南紀は割と直ぐに和歌山県を出る。そもそも和歌山県下の駅が紀伊勝浦と新宮しかないし、もっと言えば愛知県の停車駅は名古屋のみである。それ以外は全て三重県であり、実に三重県を3時間半も走っているということだ。
新宮から熊野川を渡ればすぐ三重県であり、ここから長い長い時間をかけて、桑名までの三重県を走ることとなる。
前日の大雨もあって川は増水し、濁ったものになっていた。
新宮を出てもA席なら熊野灘を幾分か堪能することはできるのだが、D席はなかなかそうも行かない。途中、熊野市や尾鷲でも人は乗っては来るが、紀伊長島を過ぎてザッと車内を見渡してみると、D席に座っているのが私しかおらんのである。これがリサーチせずにD席を取ってしまったことに、更に追い打ちをかけた。これは悔やんでも悔やみきれるものでは無い。
D席の見どころスポットというのは、紀伊長島から先の、山脈区間になってからだ。
紀伊長島から多気までの間、長い長い紀伊山地越えが待っている。
紀伊長島を過ぎてすぐ、Ωカーブを曲がり、梅ケ谷までの間で一気に標高が上がるのだ。
紀伊長島駅から隣の梅ケ谷駅はなんと190mもの高さを登ることになるのだ。梅ケ谷駅手前からは下界を見る場面が一瞬ある。その光景は「こんな高いところに登ったのか」と圧巻だ。
その後は多気まで紀伊山地を縫うようにして突き進む。山側の席を取ってしまった場合、途中の三瀬谷ダムが一番の見どころだろう。一瞬の光景でしかないのだが。あとは途中途中で桜を楽しみながら、多気を過ぎると平地を走っていく。松阪過ぎれば近鉄も並走し、伊勢鉄道区間では一旦独走するものの、四日市で再び近鉄に合流する。もちろん近鉄の方が速いのは言うまでもなく、単線であるJRはワイドビューが特急と言っても近鉄急行程度の速さしかない。思えばワイドビューは島風に抜かれ、火の鳥に抜かれ、多気から南側でようやく特急らしい「誰にも抜かれない列車」になれる。尤も単線なので抜かれようも無いのだが。
キハ85で運行されるのも残り僅かと言われるワイドビュー南紀。行き帰り共にD席を取ってしまったことを悔やみつつ、次に勝浦へ行く時はA席を確保することを誓い、名古屋から新幹線ひかりで小田原へ帰るのであった。

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特急列車の車窓から   2021/04/01   センチュリー・大橋
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