零細事業者が多すぎる
写真:内灘町のフリー写真素材より
少子高齢化に伴い、介護職の担い手はますます必要になるというのに、職員の待遇は悪く、労働者の質が上がらぬ現状がある。
その要因としては、介護事業者が多過ぎるということも挙げられよう。
単に事業者が多すぎるだけならいざ知らず、零細事業者が多すぎるということが大きな要因と言って良い。
零細事業者が多すぎることで従事者の賃金が上がらず、事業者の数だけ間接部門が存在し、法令や制度に無知なスタッフが誤った事務処理を行うなどの弊害が起きているのだ、
この状況を解決するには、まず介護事業者の統廃合を行っていった方が良いが、それと同時に品質管理の手法を取り入れた改善活動が必要である。
介護は人命と直結する仕事である
介護業界にISO9001の取得をさせた方が良いという論拠としては、やはり介護が人命に直結した仕事だからということが挙げられる。
福祉には障碍者福祉と介護福祉が存在するが、この2つの福祉は似ているようで性格が異なり、障碍者福祉は学校教育の延長に、介護福祉は病院の延長にある存在なのだそうだ。
医療というのは時として、ミスが直ちに人命に直結するものであるが、その点では介護も近しい存在であると言える。
病院で医師を補佐する仕事に看護があるが、看護師と介護士を比較した場合、共に専門性が高い仕事でありながら、看護師は専門教育を受けた末に職に就く反面、介護士はキャリアの墓場として質の低い労働者が集まってしまうというのが現状として起きている。
労働者も労働者なら経営者も経営者で、零細事業者が多すぎるが故にシステム化が進まず、生産性も上がらず、労使ともに質が低い状態になることが、介護施設における高齢者虐待に繋がる要因ともなっている。
業務を標準化しようとしない事業者
介護事業者に限ったことではないが、高齢経営者が運営する零細企業では「仕事は見て盗め」という方針の組織が多い。
言うまでもなく、安定した品質を維持するには「見て盗む」ようではいけない。
大事なことを取り決め、手順化し、属人化をさせないことが肝要なのだ。
勿論、介護サービスにおいては相手が人間であるため、製造業のように画一的な対応ではいけない場面はある。
一方、介護サービスをする上では、法によって「やらなければならない作業」などもあるため、決められた手順を守る、記録すると言ったことも必要になる。
そこに品質管理の視点は必ず必要になるものであるし、品質管理なくして正常な介護サービスを行うことは困難と言って良いだろう。