要求品質は何か把握しているか
介護サービスを実施する上で大事なことは、やはり利用者が自社にどのようなサービスを求めているかを定義することであろう。
例えば製造業であれば品質機能展開表(QFD)によって顧客の求める品質や狙う品質を定義することが多い。
ではサービス業はどうであろうか。
ホテル業でISO9001を取得しているスーパーホテルには目指すべき〚4K〛が盛り込まれている。
・きれいな水
・きれいな空気
・きれいな言葉
・きれいなホテル
この4つを軸にスーパーホテルの目指すべき姿が明確化されているわけである。
全て「きれいな」で始まる方針が打ち出されているものであるから「4K」として纏めやすく、かつ方針として管理しやすい。
介護サービスは訪問、通所、特養など幾つかのサービスがあるが、スーパーホテル同様に「サービス業である」ということは共通している。
そこから「自社にどのような品質が求められているか」を定義することができるだろう。
ISO9001は取得するべきだ
改めてISO9001とは品質管理における国際的な規格である。
ISO9001を取っているということは、利用者目線から見ても、これから就業するかもしれない求職者の目線から見ても有用である。
利用者目線で見ればしっかりと品質管理がされている安心感を提供するものであるし、これから就業するかもしれない求職者目線で見れば、業務マニュアルがある安心感に繋がる。
少子高齢化社会において、ISO9001を取得している事業者と取得していない事業者、どちらが求められるかは言うまでも無いだろう。
サービス需要は増えるのに就業者が減るのであるから、ISO9001を取得していない事業者というのは控え目に言って不安である。
人手が不足していく以上は機械化、並びに業務標準化は必要不可欠であるし、マニュアルが無ければ業務継承は正常に行うことができない。
一昔前に話題となった「頂き女子りりちゃん」の頂きマニュアルであるが、中身を読んでみるとターゲッティングからアフターケアの仕方まで詳細に記載されていた。
介護サービスにおいてISOを取得するために必要なことは、正に「日々の仕事でやるべきことの洗い出し」である。
一昔前のISOはそれこそ大企業でもないと維持が困難なものであったが、現在においては組織の身の丈に合った取得が可能になってきており、せめてISO9001を取ることくらいは実践すべきであろう。
品質管理検定の3級取得を推奨した方が良い
零細事業者が多く集まる業界ほど、マネジメントについて見識のある人材がいないというのがお寒い現状である。
とは言え、人命に関わる仕事をしている介護サービスにおいて品質管理の見識は必要不可欠だ。
QC検定は2006年に始まった工業系の資格ではあるが、今やサービス業にも受験者が多くおり、IT業界のエンジニアにも受験者が要るほどだ。
数学になれていなければ散布図や管理図で苦戦する資格であるが、やはり品質管理に関する学識があるメンバーを各事業者において1人ずつは置いてほしいものだ。
品質管理の中には安全管理も含まれるのであるからして、ISO9001の認証取得とともに品質管理検定3級合格者を各事業者に1人は置いて欲しいものである。