横浜センチュリー

📰Side Beach Journal
  • トップページ
  • 在りし日の651系:常磐線は再び仙台まで行ける特急はできるのか
下層ページタイトル背景

新着情報詳細

このエントリーをはてなブックマークに追加

在りし日の651系:常磐線は再び仙台まで行ける特急はできるのか

スマートフォンゲーム『ステーションメモリーズ』にて温泉娘コラボでんこ獲得のため、群馬へ行くことになった。
乗ることにした列車は臨時特急の草津83号。
かつて群馬方面の在来線特急は旧国鉄車両の185系で運用されていたが、今回上野駅で目にした列車は651系車両であった。
651系特急車両はかつて『スーパーひたち』という愛称で上野~仙台間を結んでいたが、東日本大震災に伴い、いわき止まりになる。
震災前、常磐線は最も近いところでは第一原発から2km程度しか離れていない区間もあった。
思えば仙台からの帰り道、浜通りはソフトバンクの電波が全く繋がらない区間もあり、その間は太平洋を眺めながら過ごしたものだ。昼に仙台を出ても上野に着くころには夜になる。
「新幹線使えば良くない?」
そんなツッコミが入りそうではあるが、個人的に新幹線より在来線の方が愉しく、やはりスーパーひたちには復活して欲しいと思える何かはある。

一応2019年度末には復活予定だが…

JR東日本の計画としては、2019年度末には常磐線の全線を復旧させる見込みのようだ。それに伴って特急列車も都区内~仙台への便を復活させるようである。
本来なら約9年ぶりの運行再開を喜びたいのだが、かつて通った2Km圏内となれば、まだまだ線量は高めだ。
大熊町の線量調査によれば、2019年3月段階での線量調査は図書館南十字路で2.76μSv、中央大霊園中央で5.14μSvとなっている。福島第一原子力発電所へ取材した下野新聞の記者によれば、宇都宮市の線量はおよそ0.04μSvとのこと(下野新聞:線量計手放せる日願いより)。これは空間中の線量だ。

もちろん特急ひたちの乗客は長い間原発の20km圏内にいるわけではないから、乗客の心配というのはしなくて良いだろう。ただ、測定されているのはあくまでも空間中の線量だ。地面となると話は変わってくる。福島原発の事故対応もまだまだ収束しておらず、チェルノブイリ原発すら解決がなされていないことから、30年60年と長いスパンで対応していかなければならないだろう。その中で無理に常磐線を復旧させなければならないかは、やや疑問は残る。
乗り鉄としては仙台まで特急が再開するのは喜びたいところだが、復旧作業に当たっては作業員の健康的負担が大きいのではなかろうか。

651系はJR東日本初の特急車両で、在来線区間を時速130kmで走れる初の車両でもあった。同時に原発事故に運命を狂わされた初の車両にして、再び太平洋を見ることのないまま次の車両へバトンタッチをすることになる(一部は富岡~いわき間を普通列車で走る模様)。
小田原から下田を走る車両は伊豆クレイルとして車内を改造されて観光列車となり、群馬を走る特急が国鉄車両からコイツに置き換わった。いつの間にか特急あずさの車両も様変わりしていたし、ゆくゆく国鉄車両は東日本区間から姿を消すだろう。
しかし、どんな特急車両を見ても、原発事故に巻き込まれたのは651系ただ一つである。
常磐線は『本線』と名の付かない路線としては最も長く、仙台駅から暫く東北本線と並走し、岩沼で分かれて太平洋沿いを長い区間、単線で走る。四ツ倉駅から伏線に、いわき駅からは見慣れた青いE531系電車が走るようになり、日暮里で再び東北本線と合流するドラマチックな路線だ。
かつて仙台で719系を見て、岩沼~いわきをほぼ孤独で走り、いわきから403系やE531系を見てきた651系。
原発事故に巻き込まれて以来、いわき以北は行けなくなり、今は毎日ウンザリするほどE231系と対面しているコイツは今、何を想いながら走っているのであろうか。尤も機械に感情があるわけではないので、651系自体が何かを考えていることは無いはずだが、運命に翻弄された651系は今、群馬と伊豆でセカンドキャリアを歩んでいる。

  2019/11/03   センチュリー・大橋
PAGE TOP