中国とはなかなか不思議な国である。
スーパーコンピュータでは4位にも上る性能の「神威・太湖之光」を開発する一方、電動工具のバッテリーは爆発するなど、不良品も多く出すという二面性を持った国である。
しかし、今や中国は世界第2位の経済大国であり、いつ米国を追い抜くのかが焦点になるほど強い国になった。
いったいなぜ中国はここまで強い国になったのか。ただ一つだけ言えることがある。
それは中国が何かしらのグランドデザインに基いて動いているということだ。写真:高崎市のフリー写真素材より
「中国をどんな国にしたいか」という設計が出来ており、その設計に基いて政治や外交が運営されている。
中国は自信の強みに関してはよく把握しており、外交戦略には無駄がない。
深圳はシリコンバレーに次いでイノベーションセンターとなった街であり、ある意味で深圳が出来たからこそアメリカは中国と本格的に対立することになったとも言えるだろいう。
明らかに中国は国家をどうしたいのかと言う設計図があり、それに基いた運営を行っているのである。
アフリカ外交における無駄の無さ
中国が掲げる壮大なプロジェクトの一つが一帯一路計画だ。一帯一路自体がある種のグランドデザインに基いて動かされていると言ってもよい。
勿論この計画にはアフリカを取り込むことも含まれ、アフリカに対する経済援助と高速鉄道敷設、台湾の孤立化はセットで行われれる。現にアフリカでは台湾との国交を止める国は増えており、アフリカ世論を味方につけ、台湾を孤立化させることにおいて、有効に機能している。
画像:ロイターより
中国は欧州と異なり、柔軟に支援政策を実行できること、かつ数多くいる華僑が現地に入りこめることが強みと言えよう。
言うまでもなく、中国はこうした自国の強みをアフリカ外交戦略でも巧みに使ってリードしている。
基礎研究に於いて研究者を追い出した日本…
中国は基礎研究の向上も進んでおり、日本人研究者が流出していることは知られていよう。
読売は「中国に日本人研究者が引き抜かれた」と報じている千人計画にしても同じだ。ようは中国が何かしらのビジョンを持って実行している施策であり、優秀な研究者に対する投資を惜しまなかった。その末に基礎技術力が向上し、国力を付けたのである。
厳密には「日本人研究者が引き抜かれた」というのも事実とは異なることが榎木英介氏より指摘されている。
参考記事:読売新聞「千人計画」特集が覆い隠す日本の基礎科学の危機
一方、学問・基礎研究に投資をしてこなかった日本は衰退が進んだ。
もちろん千人計画によって向上された基礎研究力というのは、一帯一路の個々のプロジェクトにも応用されるであろう。
外交・産業が相乗効果を発揮し、かくして日本は中国に追い抜かれ、今や差を引き離される一方となっている。