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「新たな共産主義」の延長にあるのが今の惨状であるーアベノミクスのツケ⓶

写真:三河港のフリー写真素材より

日本円の「円弱」

室伏謙一氏が「今は円安ではなくドルの独り高だから黒田総裁は辞任の必要はない」と述べていた。
しかし、今の円安は間違いなく「ドルの独り高」によるものではないということは、他の通貨との相場からも明らかである。
今の円安は既に中国人投資家から「日本は安い!!」と買い叩かれる程にまでなり、元に対しても安いということである。
また、主要通貨の中でもポンドとスイスフランに対しては、この5年で最弱と言う有様だ。
なぜこのようになったかと言えば、それは円の供給量が他の通貨との比較で多くなり過ぎたということに他ならない。
比較的均衡が取れているのは韓国ウォンくらいである。今や香港ドルも1990年代前半の水準まで高くなっているし、豪ドルも高い状態にある。

勿論アメリカが政策金利を上げている間はドル高状態が続くが、果たしてドル高状態が終わっても円安は終わらないのではないかという不透明感が付きまとう。
米ドル以外の通貨との比較を見れば、アベノミクスによる「新たな共産主義施策のツケ」は正に実感できる状態にある。

新しい共産主義のツケ

「政府の赤字は国民の黒字」
これが財政出動を求める人達の合言葉であるが、それに近いことを実践していたのが安倍晋三その人である。
尤も、安倍晋三のやったことは「企業に対するばら撒き」だったので「個人へのばら撒き」を求める人間の求めることとは異なるものであったのだが。

今や日経225の主要株主はGPIFと日銀であり、政府機関が市場に介入しすぎたことで斜陽産業が生き永らえることが出来てしまった。
折しも、今は不動産バブルの最中でもある。他方、金融緩和を止めると変動金利で不動産を購入していた人間が利息で困窮することになると予想されており、不動産バブルは終焉へと向かうであろう。

安倍政権は度々「新自由主義」として批判されてきたが、その批判は的外れである。そもそも新自由主義の考え方では中央銀行が国債を引き受けに引き受けて通貨を発行するという「財政ファイナンス」はタブー視してきたのであり、アベノミクスの本質は「新しい共産主義」であったに過ぎない。自民党の支持勢力の1つである勝共連合は「共産主義に勝つ連合」として長らく自民党の支持勢力となっていたわけであるが、もはや名前負けしていると言って良い。

今や日本人の年金は日経225と一蓮托生である。日銀は年間7兆円ものETFを買い支え、それは官製バブルとなって日経平均に表れた。もし日銀のETFで出口戦略が始まろうものなら、日本株は大きく下落するであろう。少なくとも新自由主義的な発想に則れば、GPIFや日銀が日本株の大株主になっていること自体がタブーなのである。そして、そのツケは確実に払わされる段階へと入ってきている。

いくら金融緩和をしても景気には響かない

少なくとも日本は産業構造を変えない限り、いくら金融緩和をしようが無意味だ。無意味であるどころか、今の円安禍で金融緩和を継続するなど、火に油を注ぐ以外の何者でもない。
景気を刺激するという点では、法人税を40%に戻し、消費税は0にした方がよっぽど需要が喚起されるであろう。
「日本は需要不足である」という点については間違いではないが、その需要不足を招いたのは「カネ不足」ではない。
消費税が上がり、健康保険や国民年金の保険税が上がり、可処分所得が少なくなっていることが需要不足の大きな要因である。よっていくら金をばら撒いても需要は喚起されることはなく、寧ろスタグフレーションによって先細っていくのみである。

「国の借金は家計と一緒ではない(から返さなくて良い)」という耳障りの良い話は、そこかしこと聞こえてくる。
「税は財源ではない」などと言う言葉も目にするが、どう理屈付けようと「国債は借金の姿をしている」ということに変わりはない。借金である以上は返済が必要であり、もし「返さなくて良い」などと言ってしまえば国債の価値は暴落し、円の信用は失墜する。そうなれば国民生活は阿鼻叫喚、日本はアルゼンチン化するであろう。

安倍政権下の7年半、菅政権の1年でも実質賃金の上昇は殆ど起きなかった。元より、金融緩和を継続したところで「政府の赤字は電通・パソナの黒字」にしかならない現状では、税制と産業構造を変えない限り無意味である。

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経済   2022/10/30   センチュリー・大橋
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