コオロギ食は珍味に過ぎない
写真:金沢市のフリー写真素材より
食糧危機に対して有効な手段として、コオロギ食が注目されている。
この数年、無印良品ではコオロギチョコやコオロギ煎餅が販売されるなど、多少身近度は上がっている。
一方、ネットでは「コオロギの外骨格に発がん性がある!!」などと言われ、一部では強く忌避する動きもある。
この「コオロギの持つ人体への悪影響」については、Twitterでは根拠の乏しい情報しかない故、真に受けない方が良い。海老カニにも外骨格はあるし、佃煮にされていたイナゴにとて外骨格はある。
甲殻類の親戚である昆虫類に外骨格があるのは当然のことであるし、昆虫食盛んなタイ王国でもコオロギは食べられているため、コオロギを食べたからと言って人間がどうこうなるようなものではない。
それはそれとして、コオロギ食は現状、珍味の域を出ない。
果たして日本人がSDGsの為にコオロギ食をする必要があるのか、と問われると、これはやはりNoと言う他無いだろう。
通常の販促ルートに乗るわけでは無いこともあってか、単価が高い。
スーパーマーケットでも既存の生鮮食品ですら売れ残る現状で、敢えてコオロギを食べる理由も見当たらない。
日本の人口は減少する
次に日本の人口は減少するということが、コオロギ食の有用性をあまり感じさせない要因でもある。
人口が減少するということは、今後、土地が余っていくのだ。
それこそ農村部には相続先が無くなり、荒れる田畑も出てこよう。こうした田畑を維持するためにはどうするのか。
今の日本の食を支えているのは農家であり、そして漁師である。農業や漁業も就労者が高齢化しており、これらの畑を維持し、就農意欲を促進するための制度が必要だ。
それともう一つ、空き家問題が今時点で話題に挙がることがあるが、しかしながら疎遠社会によって都会ではホームレスが増えるという、矛盾した問題が起こることになる。
「空き家が幾らでもあるのに都会ではホームレスが増える」のだ。それに伴って「田舎では就農者もいなくなる」ということになる。
人口減少を続ける日本ではこの先、大量生産、大量消費社会から、コンパクトな社会へ移行していくことになろう。
SDGsという観点で見れば、貧困問題の解決手段に就農促進を行い、空き家問題も並行して解決していく方が、SDGsには適うものになるだろう。
昆虫食が全般的に価格が高い
コオロギ食に限ったことではないが、昆虫食自体が全体的に高級珍味である。
参考までに蜂の子(クロスズメバチの幼虫)は1Kg1万円の世界であるし、コオロギ醤油は100ml1640円と、なかなかの「高級食材」である。
そのほかにも昆虫食はいくつかあるが、どれも普通の牛肉や魚介類に比べて高額だ。ニジマスでも買った方が安いのが今の昆虫食の実態である。
コオロギも生産が発達して安価になればまだ良いが、一般的に消費されるような事態は想定されているとは考えられず、到底大衆の手の届くところにはない。
この先も同様の事態になると考えられ、コオロギが大衆の食卓に並ぶことは基本、無いであろう。