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新自由主義

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なぜ日本人はそこまで冷たくなったのかをキャリアから考える

現代ビジネスに寄せられた坂本教授(関西大学法学部)の「日本人は実は助け合いが嫌いだった」が大きな反応を呼んでいる。

坂本教授がISSP「政府の役割」調査を基に作成した上記グラフは2016年の結果だが、この結果は2011年の頃と日本はほぼ大差はない。2011年のデータの時でさえ「日本人は世界一冷たい民族」として話題になったくらいなのだが、それから五年経っても結果は殆ど変わらなかったと言える。一体いつから日本人はそこまで厳しい民族になったのか。元からなのか、何かしら原因があるのかという点について、日本の厳しい財政が関係しているであろうことが指摘されていたが、それだけが原因かと言えばまた謎である。
やはり市井の井戸端会議では「日本は平和で豊かな国」というのが一般的な認識であり、衰退中であることを率直に認めている人は少ない。何か別の理由が絡んでいる。そんな気がしているわけだ。

ところで小泉純一郎を支持していた私は政党座標テストでは新自由主義者としての判定を受けている。
そんな新自由主義者判定を受けた私から見て、日本人の共助や公助より自助や自己責任を好むようになった理由として、やはり新自由主義的価値観の浸透が切り離せないように考えている。
では新自由主義的価値観とは何かと聞かれると、それはキャリア志向と拝金志向にあると考えている。

キャリア志向は職業差別を生む

とあるツイッタラーが言っていたことに「新自由主義は民族差別を解消するが、門地差別を生む」というものがあった。
新自由主義的価値観の本質と言えばドラゴン桜を読むとわかりやすいのだが、徹底したブランド志向やキャリア志向がその源泉にある。キャリア志向は言わば如何にして自分が良い仕事に就くか。収入がアップできるかという視点でものが語られる、徹底した自己責任の世界だ。それこそ10代の頃からしっかりと将来を考えてキャリアプランを考えていく。遅くとも20代中盤にはキチンとキャリアと向き合い、しっかりと方向性を確立させていかなければならない。20代後半から考え始めるのではもう手遅れ。それがキャリアというものである。

さて、キャリアとは別にして、日本の世の中を回しているのは労働者である。それこそ時給1000円で工場勤務するようなおっちゃん、スーパーでコロッケを揚げているおばちゃん、イベントで観客を誘導するお兄ちゃん一人一人が現場で汗水垂らして働いて世の中は回っている。これから開催される東京オリンピックとてそれは過言ではない。これは普通に考えれば当たり前のことなのだが、こんな当たり前のこともキャリア志向が行き過ぎると見えなくなってくるのではなかろうか。

このツイートでも指摘されているが、基本的にキャリア志向と新自由主義は相性が良い。
そして新自由主義的価値観を持つ人に良く見られがちなのは、上昇志向で努力を怠らないが、それ故に努力できない人の気持ちは全くわからないということである。これらの人は自分からみて努力できない人は差別する対象になる。その指標は概ね年収によって測ることになるだろう。

新自由主義的価値観では人の命に値段をつける

新自由主義的価値観は根本的に優生思想なので、金を稼げない者は淘汰されるべき対象となる。これ即ち、無意識のうちに人の命に値段をつけるようになったのが新自由主義的価値観と言って良さそうだ。もちろん値付けの対象には自分自身も含めることになる。
よく「自分の市場価値を高めよう!」なんて類の広告を目にしたりしないだろうか。これ自体が既に命に対する値付け行為であり、自分の市場価値を上げると言うのは如何にして自分自身の命の価値(直接的に言えば年収)を上げられるかというドライな感性に基くので、こうして自身の市場価値を高めようとすればするほど、その価値観は自助と自己責任の思考が磨かれ、共助や公助の意識からは遠ざかるのではないかと考えている。

ところで新自由主義(ネオリベラル)というのは、かなり都会的な価値観であると言って良い。
なぜ日本人がそこまで共助や公助を嫌うのかをキャリアという一面だけで見たが、このキャリア志向は非常に都会的な価値観であるため、ある意味でネオリベラリズムの浸透は東京一極集中という問題も絡んでいるのではなかろうか。東京一極集中に加えてホワイトカラー志向が合わさると、ネオリベラリズムの浸透は促進されるように思える。東京は世界最大の人口を持つ都市だ。東京一極集中とホワイトカラー&キャリア志向が組み合わさっていけば、なんとなく日本人が冷淡になっていくのが自然な行き先な気がするのは、気のせいであろうか?

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新自由主義   2019/09/13   センチュリー・大橋
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