自民党の下村博文氏がロックダウンを行うべきだとして波紋を呼んでいる。
東京都の日当たりの陽性者数は5000人を超え、神奈川県でも日当たり2000人が目前に迫ったことで、緊急事態宣言の効力が疑われているためだ。
写真:精華町の写真素材
菅義偉首相は今のところロックダウンを否定しているが、世論としてはロックダウンを求める声も多いことは確かなようである。
現在、緊急事態宣言下に於いても、飲食店の営業時間短縮や酒類の提供禁止が求められているが、会社員の通勤に関しては制限をされていない。
感染数を抑えたいと言うなら、まずは通勤を制限するのが一番だ。
だが、ロックダウンを行えば間違いなく別の弊害が発生する。
それは、派遣労働者は大量に解雇されるということだ。
派遣社員のテレワークは進まぬ
派遣社員はテレワークが進まない…と言うよりは認められないと言った方が正しかろう。
基本的に派遣社員はテレワーク対象から除外されており、常に現場へ駆り出されるのが基本の働き方だ。
寧ろテレワークは正規雇用者にのみ認められた働き方と言っても過言ではなく、一部、直雇用の契約社員もやっている程度であろう。
ロックダウンをやる場合、前提として働き方は在宅勤務をせざるを得ない。
だが、正規雇用者ですらテレワークは満足に進まぬ日本で、派遣社員にテレワークが浸透するはずもない。
「派遣にテレワークさせるわけにもいかない」と検討した結果、派遣社員の待つ行く末は解雇となる。
現に緊急事態宣言が出るたび、非正規労働者は解雇されてきた。しかし、それでも出勤出来る労働者は食い繋げたかも知れない。
そう…「感染しない限り」であるが。
ロックダウンによって発生する大量派遣解雇
そもそも何故ここまで感染は広がったのであろうか。
ネットでは「日本はPCR検査数を抑えている」と言われているが、それは半分正解で半分間違いである。
日本で起こった出来事としては「感染したら解雇」である。
新型コロナの感染が発覚したら解雇される以上、個々の従業員にとって身を守る手段は「感染を隠すこと」と言って良い。
「感染隠しは犯罪だぞ!」と言ったところで「感染したら解雇される」となれば、生活の為に発症したままでも出勤せざるを得ない。
よって満員電車に乗れば、どこかの車輛に軽度発症者はいると見て良いだろう。本当は出勤したくなくても出勤をすれば雇用は維持されることから、緊急事態宣言でいくら政府が企業にテレワークを要請しようが出勤は続く。
だが、ロックダウン(都市封鎖)となれば出勤そのものが禁止になることも考えられ、出勤を禁じられれば即解雇されてもおかしくないのが日本である。
何せ「テレワークを求めたら即解雇」なんてものがまかり通るのが派遣社員の世界だ。ロックダウンなどとなれば大量の派遣切りが起こるのは想像に難くない。
「派遣なんて働き方を選んだのは自己責任でしょ」
そんな意見もあるかも知れない。だが、小泉政権時と異なり、派遣と言う働き方は「生活の為に派遣しか働く手段が残っていなかった」というケースも一定数存在する時代になった。
派遣社員はお世辞にも労働基本法で保護された存在とは言い難い存在である。ロックダウンが行われれば派遣社員は大量に解雇され、働き先を失う失業者が溢れるであろう。
10万円は雀の涙にすらならぬ、失業保険も切れる労働者が溢れた時、日本は地獄を見ることになる。