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もはや廃線あるのみ!:赤字を出し続けるしかない悲惨な北海道新幹線

九州を見れば佐賀と長崎で揉める長崎新幹線、北海道を見れば新幹線開通後の在来線をどうするかで決めあぐねている北海道新幹線がある。
東京から函館間を結ぶこの新幹線は、なんと開業以来、一度も黒字化を達成したことが無いという素晴らしい高速鉄道である。しかも札幌まで延伸したとしても赤字を脱却できる、見込み無し。いったい何故このような新幹線を作ったのか全く疑問であるが、傷が大きくなる前に北海道新幹線は廃線し、在来線だけで回した方が良いのではなかろうか。その上で、JR北海道、四国の線路は国有化した方が良い。そもそも北海道延伸したとしても航空機が優勢になるのは明らかであり、航空機との厳しい競争どころか、お話にならないレベルで航空機には負けると言って良い。

沿線人口が少ない東北地域

北海道新幹線が今後も伸びないこととしては、言うまでもなく沿線人口の少なさが大きい。
札幌まで新幹線で行くとすれば、仙台~函館の住民が乗ることになるだろう。東京ー博多間の移動が90%を航空機で占めるように、東京の人間は札幌へ行くのにまず新幹線を使わない。となれば、仙台以北の人間が主な新幹線客の対象になる。もっと言うと仙台の人間が新幹線を使うかも怪しい。仙台空港は仙台市とのアクセスは良く、新千歳空港も札幌とのアクセスは悪くない。加えて航空機の方が運賃も安いことから、新幹線に乗客が流れるとは考え難い。
山陽新幹線が黒字を出せるのは、京阪神の人口が1400万人規模であることは大きい。一方、東北最大の都市である仙台市は108万人。京阪神とは異なり、盛岡との間で一つの都市圏を形成しているわけでもなく、まばらであること、札幌延伸予定の2031年には更に少子化が進んでいることから、北海道新幹線の需要は今後も伸びる見込みは無いと言ってよろしい。

田中角栄は優れた鉄道計画を持っていたがJRは無かった

東海道新幹線はともかくとして、現在日本で開通されている新幹線は田中角栄の「日本列島改造論」の延長にある。
角栄はグランドデザインを描ける優れた政治家であり、新幹線についても日本全国へ広げ、新幹線駅と都市開発を一体化した国家作りを目指していたのだ。
加えて角栄は「赤字路線と言えども廃線すれば過疎化は更に進む」ということがわかっていた人物であり、角栄自身はむしろ鉄道の良さを理解し、大切にしようとしていた立場であったと言えるだろう。
もし今も日本各地を走る鉄道が「国鉄」であったなら、北海道新幹線開通は問題は無い。鉄道は国民の生活を支えるインフラとして、税金で支えていくことは当然であり、新幹線開通があったとしても在来線は残るし、地域住民の足としての在来線と、都会からビジネスや観光の速達輸送としての新幹線は充分共存できた。
だが、それは中曽根改革で大きく使用変更がされることになる。国鉄が無くなってしまったのだ。

並行在来線という厄介な問題と大航空時代の幕開け

中曽根改革によって国鉄は解体、JRへ分割民営という方向へ舵を切ることとなった。
確かにJRへの分割民営化には、良かった面はある。特にJR東の新幹線はグリーン車にアテンダントが付き、グランクラスでは正に新幹線版のファーストクラスなる演出を実現した。しかし、中曽根以降は整備新幹線の陰に並行在来線問題が発生することとなった。
「儲からない路線を如何に手放すか」はJRにとっての課題になる。結果的に並行在来線の多くは第三セクターへと移行されることになるが、ここで鉄道運賃が跳ね上がる。
特に盛岡~青森間はIGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道の2社を跨ぐことにより、運賃は新幹線より高くなることになった。当然、運賃が上がれば乗客は減るため、経営は厳しいものになる。
更に2012年は恐らく田中角栄も予期しなかったであろう事態が発生した。LCCの登場である。
LCCは必要最低限のサービスだけしか提供しない代わりに運賃を安くするもので、かつ新幹線と比べても速達性は高い。
ピーチ航空、AIR DO、バニラ・エアと言った航空会社は格安で運行され、国際線でも運行されるようになった。
今や東京ー福岡間を新幹線で行くより、ともすればLCCで香港へ行った方が安上がりかもしれない。正に大航空時代の幕開けである。
新幹線を使うのは頑なに陸路以外を拒む者しかいない:北海道新幹線は鉄道マニアの玩具でしかない
既に大航空時代の今となっては、新幹線を使った国内移動は多客期で新幹線の方が安く上がる場合や、陸路以外の交通手段を拒む者(飛行機恐怖症等)、鉄道マニアくらいしかおるまい。
既に日本中が飛行機で行き来できるようになった今、新幹線需要がありそうなところは広島や岡山のように、空港と主要都市が多い場所になるだろう。結局のところ、中曽根時代に日本と言う国家の仕様が大きく変わったにも関わらず、新幹線だけ角栄の設計を受け継ぐなど、土台無理な話と言って良い。
ことに北海道新幹線は単なる鉄道マニアの玩具でしかなくなり、今後も赤字が解消する見込みは無い。それならば、潔く廃線し、新青森以北は在来線に戻した方が良いだろう。

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経済   2021/05/16   センチュリー・大橋
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