増税を議論する前に必要なこと
社会保障や社会制度を維持するためには人口維持が必要であり、少子化対策は待ったなしであることは間違いない。
同時に、少子高齢化社会で社会を維持するためには、国民に覚悟が求められることも確かである。赤字国債は際限なく発行できるものではない。そのため、誰かが負担を背負う覚悟が必要になる。少なくとも今の日本の社会保障制度はそのように出来ている。
しかし国民に覚悟を求める以上、それを求める者もまた、清廉潔白でなければならない。それくらいでなければ国民はついて来ないというものだ。
では甘利明はどうなのか。それはもう信用に値しないというのが実態ではなかろうか。
甘利明の〖政治と金〗問題
甘利明が批判されるのは何も増税を匂わす発言のみではない。甘利明には「政治とカネ」の問題があることも大きな汚点である。
甘利明が薩摩興業から1200万円の収賄を受けていたことが一色氏から告発された事件では、不起訴となっている。
現金拝受問題については玉木雄一郎議員によって、秘書とされる人物の音声データが公開されている。
「検察から不起訴になったから終了」というわけには行かないのも、こうした過去があるからだ。
国民に負担を求める割に自らの身は潔白ではない。それで増税を匂わすような発言をしようものなら、非難されて当然である。
繰り返せば本当に防衛増強が必要なら、防衛費確保のための増税は必要であるし、少子化対策も本当に打ち込むなら、取れるところからは取らねばならない(ただし消費税は取れないところからも取るために悪性が強い)。
だが、国民に負担を強いる以上は、自らも清貧たらねばならない。少なくとも、甘利明にはそれが出来ていない。大臣室の一件すら未だ説明責任を果たしたとは言えないであろう。
国民に負担を訴える前に本来なら議員辞職すべきだ
前回の衆院選では小選挙区で負け、幹事長を辞任。URを巡る口利き疑惑については説明責任を果たさぬまま雲隠れし、経済産業大臣を辞任したものの、議員を辞めることはなかった。
要職辞めども議員は辞めず、影響力を保持したまま方言を放つのは問題である。
本来であれば大臣や幹事長の辞職というレベルで済むものではなく、議員辞職すべき問題なのである。
検察と言うのは行政の下部組織だ。
本来、政治的中立であるべき検察組織だが、実態としては決して中立ではない。
五輪汚職疑惑にしても、安倍晋三が存命していたら、高橋治之や深見和政と言った面々は逮捕されていなかったであろう。
かつて大阪府知事であった岸昌も5000万円の汚職疑惑があったが、中曽根の計らいで逮捕を免れたと言うのは故・田中森一氏の話にある。
URを巡る口利き事件で甘利は不起訴に終わったが、そもそも検察が政治的中立ではないため、逮捕を免れている可能性は大いにあるということだ。
本来なら議員を辞職すべき事案だが、議員は辞職せず。大臣室の一室についての説明責任を果たさぬのなら、甘利は国民に対して負担を強いる資格は無いのではなかろうか。