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新幹線が通る長崎市:新たな住民を呼べるのか🚅

新幹線の前倒し開業

2022年の9月23日より、当初の予定を前倒しして長崎新幹線が開通する。
長崎新幹線は正確には西九州新幹線と言うもので、長崎~新大阪までを繋ぐ新幹線として開通する構想になっている。
しかし、西九州新幹線の全通に当たって最大の鬼門は佐賀県下をどうするかと言うことになる。佐賀県が了承しないためだ。

未開通区間(未着工区間では無い)となっている佐賀県下であるが、そもそも佐賀市にとって長崎本線と並走する新幹線は不要であるため、現行ルートを通る前提では一向に話は纏まらないのである。
長崎新幹線は武雄温泉駅で乗り換えるリレー方式となるが、恐らくリレー方式が半永久的に続くであろう。
利用者にとっては鉄道での移動は不便なものとなり、値段も高くなることから、高速バスに流れることが想定される。
乗換えを伴うことによる不便度が上がるため、長崎が旅行先から外れることも考えられる。

開業当初こそ物珍しさのために賑わうことが考えられる長崎新幹線だが、リレー方式が半永久化すれば利用客の減少は避けられないであろう。
そうなれば、長崎市は今後、定住者を増やしていくことが大事になるのではなかろうか。

長崎市の人口減少は激しく…

新幹線開通に浮かれたところで、新幹線は多くの人にとって、日常的に使う交通機関ではない。日常的に使われるものは在来線やバスであるが、非日常で使われる交通機関だからこそ、乗り換えの少なさは大事である。利用者が鉄道に慣れているとは限らないからだ。

前倒し開業となった長崎新幹線だが、長崎市は人口減少のスピードは県都では新潟市に次ぐ2位である。都市の中にさえ限界集落があり、現状の人口減少スピードから見て、消滅可能性都市になることも考えられる。上場企業の本社は全国で唯一1社もないのが長崎県であり、長崎市は陸の孤島である。

長崎市がどれだけ陸の孤島であるかは女神大橋の北側を歩いて市街地を眺めて見れば良い。
三方を山に囲まれ、南が海、平地の殆どない長崎市は正に要塞そのものの地形なのだ。
女神大橋から見た長崎市街
写真:長崎市のフリー写真素材より

長崎市は海に面した場所はほぼ三菱の縄張りと言っても過言では無いが、岩崎弥太郎が三菱を創業した時代、飛行機と言うものは存在していなかった。長崎は空以外からは攻め辛い地形をしており、軍需産業を育てるのにはうってつけの街だったと言える。
今も長崎の造船所ではイージス艦を造っているが、日本の造船業は近年、中国や韓国に押されて低迷しており、三菱重工の香焼工場は売却が決まってしまっている。これは長崎市にも暗い影を落としており、長崎市の御先が明るくないことを象徴付ける出来事となってしまった。

得られる賃金の割に家賃は高い…

長崎市の大きな特徴は「三方山に囲まれ南が海」である。街中には坂が多く、GoogleMapで住宅街である住吉エリアを見ると、ところどころに階段があるのが分かる。長崎市の市街地は坂だらけであるということだ。
長崎市には路面電車こそ走っているが、走っている区間は長くはなく、赤迫-大浦天主堂間の距離は僅か8㎞しかない。参考までに人口規模の小さい高岡市の万葉線は高岡-越ノ潟で12.9kmある。かつて存在した京都市の路面電車の営業距離は78.814㎞と、今の地下鉄と嵐電を合わせた区間より距離が長い。

長崎の路面電車は大浦天主堂からは海側を外れ、石橋駅が終点駅になっているが、大浦天主堂から女神大橋を海沿いに歩いてみると、これまた左手は山の斜面であり、平坦な区間は殆どない。これは長崎市の家賃の高さにも繋がっている。
長崎市は家賃が高く、その家賃は大阪市や福岡市とほぼ同等の家賃帯になる。長崎県は最低賃金が全国で2番目に低く、全国平均より100円も最低時給が安い県である。

即ち、家賃が高く、賃金が低い。当然、人はより良い生活を求めて福岡へ、大阪へ、東京へと出て行ってしまう。
よもや「観光収入が頼り」と言わんばかりの状態であるが、一方で顧客努力を強いると満足度は下がる。新幹線のリレー方式は〚乗り換えと言う顧客努力〛を強いるため、この1回の乗り換えが観光客を長崎市から遠ざける要因にもなると言える。

流石に赤迫や石橋などの終点駅に行くと家賃は下がっていくが、市内の家賃は大阪市や福岡市とあまり変わらず、得られる賃金ベースで考えれば、大阪市や福岡市の方が安くなるであろう。なお、近年は群馬県が移住先としての人気が高まっているが、前橋駅近辺の家賃相場は長崎駅周辺とあまり変わらないのである。
平らな地形が少ないことが長崎市の家賃を押し上げる要因であり、そして得られる賃金が低い割に家賃が高いため、市民の不満はそれ相当には高そうである。
なお、二列目には長崎の路電と同一の駅名が存在する都市同士で比較したが、栃木県の下野市は住みやすさランキングで栃木県第一位を獲得したことがある(下野市ホームページより)。

長崎県内ですら長崎市は住みやすさと言う面に於いて、隣町の時津町に人気負けしており、長崎市の受難はまだまだ続くと言えそうだ。

人口減少に歯止め掛からぬ長崎市

「佐賀県は新幹線に猛反発!」⇨それは佐賀県が悪いのか
人口   2022/08/24   センチュリー・大橋
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