勝手なことするなで委縮
写真:佐久島のフリー写真素材より
どんな上司も自ら主体的に考えて「自分の望む通りに動く」部下がいるのが理想だろう。
だが「自ら主体的」に「自分の望む通り」に動く部下というのは、いそうでいないものである。
勿論「それができる」人もいる。
その一方で「主体的」の具体的な中身が分からないまま「主体的(という名の自分本位)」でやった結果「勝手なことをするな」と言われるようになる。
こう言われた部下は大抵委縮し、次回から正に「勝手なことをしないようにする(指示待ち)」へと変貌する。
極端と言えば極端だが、あり得ないわけではない。
自分で考えて欲しいことを可視化させる
「自分で考えろ」と「勝手なことをするな」には境界線がある。
大きな組織になればなるほど、職位事の裁量の幅というのは限られるため、必然的に「自分で考えるべきこと」の範囲と「自分がやって良いこと」の範囲は小さな組織に比べれば限定される。
極論から言えば1人しかいない会社は社長の好き勝手に判断して実行できるし、10人いる組織では大抵が役割分担をするから、1人の持つ裁量(権限)というのは知れている。
そういう意味では「何を考えて欲しいか」というのは可視化させた方が良いし、逆に「不必要なことは考えさせない」というのも大事なところだ。
例えば末端の一般社員に経営者視点で物を考えてもらう必要性は全くなく、職場でチームを円滑に運営するためにできることを考えて欲しいはずである。
そのチームの運営・改善に必要なことを考えさせるのであって、その内容については可視化させることが肝要だ。
品質管理活動の一環にはQCサークルというものがあるが、QCサークル活動をマトモにやっている企業は少ない。
そもそもQCサークル活動を全くやっていない企業も多く、QC活動を行っていないために各々の職能や職権も良くわからないことも多いのではなかろうか。
品質管理活動として基本的な活動であるQCサークルの中で、各々の従事者にはどんな職権があり、どんな役割があるかを可視化させるというのもまた、重要な行動なのではなかろうか。
いっそ「自分で考えなければならない」を少なくするのも手である
「自分で考えろ」と「勝手なことをするな」には境界線がある。
その境界線を見える化することが肝要であるが、同時に「自分で考えるべきこと」を少なくするというのも、業務効率化に於いては重要であったりする。
いわゆる日常業務の中に於いて「自分で考える必要がある」作業は新規事業創出、新規顧客獲得、既存業務改善活動やイレギュラー対応など、多岐に渡っているように見えて限られている。
通常の業務については「自分で考えさせない」ことが効率化には重要であり、生産性を上げるなら業務標準化を行うことだ。
だいたいからして「自分で考えなければならない領域が多い」時点で生産性が良いとは言えない。
大事なことは「標準化できる作業を標準化して自分で考えなければならない領域を減らす」こと。
そして「自分で考えて欲しい部分は見える化する」こと。
この2つができるようになると組織は円滑に回りやすくなるのではなかろうか。
「自分で考えろ」と「勝手なことをするな」を巡る困惑は、業務の見える化や標準化をしていくことで、解決に近付くことができるのではないかと考える次第である。