営業職はフルタイムでなくても良いのではないか⓵
高い事務職人気の裏腹に
写真:七尾市のフリー写真素材
どんなに好景気であっても決して人手不足にならない職業に事務職が挙げられる。
事務職は本当に人気の職種で、どんなに給料を低くしても応募は止まらないものだ、
というより、応募が集まり過ぎるからこそ給料を低く設定できるわけであり、今後もこの傾向は変わらないだろう。
一方、慢性的な人手不足に陥っているのが営業職。
営業職の有効求人倍率は慢性的に2倍を超えており、人手不足の職種トップ3に入る状態だ。
営業職は事務職とは対照的に景気の好不調に関わらず不人気と言って良い。
果たして事務職は何故人気で営業職は何故不人気なのか。
それは事務職が楽そうだから人気であり、営業職はキツいから不人気なのだ。
が、果たして営業職の不人気理由はそれだけなのかと言えば、そういうものでもない。
必要なスキルの見えなさ
例えばエンジニアの世界などは必要なスキルが可視化されている。
プログラミングなら何の言語ができた方が良いであるとか、CCNAを持っているかなど、何のスキルが必要かはほぼ見える化されている。
技術が必要な仕事と言うものは、その仕事をするに当たってどんな技術や学問を修めれば良いかがわかり、それに向けた目標設定や努力をすることができる。
一方、営業はどうだろうか。
基本的に営業は学歴は不要だ。
大学を出ている必要はなく、何なら小卒でも充分に出来る。
資格も要らない。せいぜい普通運転免許だけあれば良い。
実際のところ営業職は資格を何も所持していないケースは珍しくない。
ただ「人から好かれるスキル」があれば良い。
ところがこの「人から好かれるスキル」と言うのが曲者なのである。
「人から好かれるスキルはなんだ」と言われて具体的に列挙できる人はどれだけいるだろうか。
技術職と比べると必要スキルが見え辛い。
また、大学進学率が高くなり、各種資格試験も充実するようになった時代の中で、わざわざ学歴も資格も要らない仕事に高学歴な人間や国家資格持ちの人間が就きたくないという要素もある。
そうした要因も重なって営業職は採用難になっていくのだ。
求職者側のライフスタイルの変化
求職者側のライフスタイルの変化も見逃せない。
今や結婚生活では家事分担が当たり前、それどころか少子高齢化社会で親の介護という問題もある中、営業職が敬遠される理由の1つは残業時間の多さだ。
可視化されているされている数字だけでも、営業職の平均残業時間は35時間にも及ぶ。
現代人のライフスタイルの変化による「家庭以外での多忙さ」を考慮すれば、残業が多いことは敬遠されるもので、やはり帰宅時間が読みにくい営業職の敬遠理由になるだろう。
こうして営業職は採用難となっていくのだが、それに対して企業側は対応できているだろうか。