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あなたの行動や交友関係を点数化するかもしれない?信用スコア、その人質性

前回は「今更まとめる信用情報と信用スコア」と題して記事を書いた。
今回は信用スコアのメリットデメリットについて。

◆信用スコア。そのメリットデメリット。特にその根本的な欠陥について

日本人は知らない…中国とアメリカの「デジタル生活」、ここまで便利になっていた!

この記事では信用スコアによるメリットが多数紹介されている。たとえば農村民の経済活動を助け、商売をするのも簡単になり、経済圏を大きくできると主張されているが、自分はちょっとそこまでは楽観的になれずにいる。
実際メリットもある。金利が有利になるとか後払いが選べるようになるなどのお得な側面もあることは前回書いた。
だが都市部出身者ではなく富裕層でもない、所得が低く主に地方の農村民は、おそらく最初のスタートからスコアが有意に低いはずだ。
仮に成り上がりの余地があるとしても、都市部に生まれ育つ「実家が太い家」ほどには、そのスコアを上げるのは楽ではないのではないか。
このシステムは、基本的に富めるものはますます富み、貧しきものはますます貧しくなっていく現在の社会システムを、その根本から覆す類の解決策ではないとワタシは考える。
また筆者は「品行方正スコア」によって不公平さが是正されると考えているようだ。
もちろんその側面もあるだろうし、ワタシはそれを否定しない。使い方によってはそうなるだろう。道具それ自体は悪ではないからね。
だが「品行方正スコア」に最も懸念されるデメリットはこのシステムがトータルに社会を監視するために機能することだろう。
実際に中国では芝麻信用導入の効果として「犯罪の抑止に役立っている」と謳っているくらいだし、その方向の利用を手放す気配はない。
この記事の読者の方が「自分は犯罪も犯さず正しく生きてきたから問題はない」「メリットがあるはずだ」と思ったとしてそれはよくわかる。ワタシもそうだ。自己を信頼するのは人間が生きていくうえで必要なことだし、なんら不自然なことでもない。
だが、もし、万一「表向きは誠実だが裏でこっそり犯罪を犯しているような人間と、それとは知らずSNSでつながっていた」としたら?
それだけで自分のスコアに傷がついてしまうことになるだろう。
自分自身は犯罪者でもなく、犯罪者予備軍でもなく、そんなやつだなんて知らなかったのに。
また、最初から人生イージーモードではないところに生まれ落ちた人間にとっては逆に足枷になりはしないのだろうか。
切っても切れぬ血縁関係の中に、信用スコアに問題がある人物がいた場合は?
たとえば、「自分が生まれる前に親がかつて何かの犯罪で服役していた」というような家庭に生まれ落ちた子の場合はどうなるのだろうか。
この疑問に対する救済は、信用スコア制度そのものにはセットされていない。実際のニュースを紹介しよう。

中国「信用スコア社会」で起きる生きづらさ 普及するキャッシングアプリが日常を脅かす

ここには父親の借金で大学から入学拒否された高校生の例が紹介されている。
このケースでは慌てて方々から借金をしてなんとか支払ったようだが、多重債務問題は解決されていないし、債務者でもない子の人生に直結する社会問題を孕んでいる。

◆国家による信用スコア計画

あなたの‘信用’、何点ですか?―中国12都市をモデルに進む「社会信用システム」とは?

こちらの記事はこれまで民間で運用されてきた信用スコアを国家が国民を格付けるシステム構築について報じられている。
2020年までに基本構造を中国全土に実装する目標を掲げ、都市部から徐々に中国全域の自治体へと広まりつつあるのが現状だ。
この国家による信用スコア計画を定める「社会的信用システム建設計画要綱」によれば、税金の滞納などの軽微な信用失墜に関しては条件を満たせばスコアを回復できるとある。
だが、低スコアであることを理由に大学への入学拒否などが行われれば、そうした噂は人づてに広がってしまい、数字は回復できても、人間関係は回復できない可能性が高い。また低スコアと格付けられた親の下に生まれついた子の問題には解決を与えない。
次の記事も見てみよう。

「推し活」への警告?中国、BTSファンらのSNS停止

中国政府は熱狂するBTSのファンを「非理性的な応援行為」だとして、いくつかの微博のアカウントを30日から60日のあいだ停止させたと数日前に報じられた。
西日本新聞に限らず、いくつかの同じ内容の記事にも書かれていないことだが、実はこういったSNSでの行動もスコア化されているため、アカウントを停止された中の人たちの信用スコアはその状況に応じて下がることになるのだ。
場合によっては懲罰的な格下げにより、飛行機のチケットを取れずにLIVE会場に行けないなどで、推し活ができなくなる可能性もあるだろう。
世界的な信用スコア導入の流れはもはや不可避だ。かといって必ずしも日本の未来もこれら報道と同様の未来になるとは限らない。
ではどうすればいいのかと頭を悩ませていたところ、この記事を見つけた。

道徳心を採点される――中国で広がる「信用スコア」の内実

ここに書かれているのは「楽して稼げるコツ」みたいなタイプの解決策ではない。結局のところ、シビリアンコントロールによる権力の監視しか答えはなさそうだ。
だが、それはどんなにか世界がデジタル化を進め、ネットが世界を覆っても、不断の努力ってやつはずっとアナログなまま存在し続けるということでもある。
衆院選を前にきっと野党政治家の誰もこれに警戒心なんか抱いていないだろうけれども、自分はいつか国会の壇上に議案が乗っかってから大騒ぎしなければいいのにな。と思っている。

昔から「ネット世界におけるレジスタンスって大変だよなぁ。アナログ時代と違って必ずどこかに足跡が残るようになっているし」なんて考えていた。実際、これからのレジスタンス2.0を真剣に考えてもいい頃なのかもしれない。

中国は何かしらのグランドデザインに基いて動いている

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