現在は対処療法しか行われていない
写真:白山市のフリー写真素材より
恐らく多くの保護者がニュースなどで目にするバイトテロと言うものに対し、他人事だと考えているであろう。
しかし、子供(特に男児)を持つ親は「自分の子供も同じことをしてしまうかも知れない」という危機感は持たねばならない。
特に近頃は問題行為からマスコミのニュースになるまでのスピードが極めて速い。
多くは身内向けに配信した動画が何等かの経路で外部に漏れ、Twitterなどで拡散されているわけだが、結局のところ「起きたトラブルに対処する」ということしか出来ていないのが実情であろう。
もう一つ厄介なのが、スシローの件はバイトテロではないということか。
バイトテロであればスマートフォンの持ち込みを禁止し、アルバイトだけで業務を運用することはさせないようにすることで、ある程度は防止できる。
しかし、今回は非常識な客の異常行動になるため、店側としてはなかなか対処のしようはない。
言うなれば、発生した火事の火消しはできるが、火事を未然に防ぐことが難しい案件とも言える。
中高生を指導できない中高年
尤も、中高生によるSNSを使った不適切投稿については、中高年側が中高生を適切に指導出来ない問題もある。
SNSに慣れ親しんでいない、またはTwitterなどを基本的に「見る専」で使っている場合、ネットのトラブルに巻き込まれるという経験は持っていないだろう。
特にTwitterには陰湿な者が多く集まっているが、ネットで危ない人と関わることなく、大きなトラブルもなく生活してきた人にとって「こういう使い方をするとトラブルになる」と教えるのは難しいのかも知れない。
一度でもネットを通して大きなトラブルを経験したことのある人間にとっては、危険なネットの使い方を経験知として持っている。一方で、SNSに親しんでいなかったり、或いは見る専でやってきた人には、ブロンコビリー・バイトテロ事件なども伝聞知として持ってはいても、それを自分事として落とし込むのは難しいのである。
もっと言えば、今の中高生を中高年が適切に指導出来ていないということも、事件に至る要因としてなくはないのだ。
と言うのも、今の中高年が中高生だった時代、パケット定額と言うものは無かった。今のソフトバンクはJ-Phoneと言う名前であり、その時代のケータイ電話はネットに繋げば繋ぐだけ料金が請求される時代だ。
松本人志がCMをやっていたTukaなど「通話出来ればええやん」のサービスであったし、ファイナルファンタジー7にも登場した通信機器・PHSの事業を「ウィルコム」という会社が行っていた。今やTukaやウィルコムなど知っている若者はいないだろう。当然、Twitterなどというものも存在していなかった。
パソコン通信は以前からあったが、その時代のPCなど今のラップトップなどと違い、贅沢品の領域である。
未成年にスマートフォンを持たせるには早かった
「ウチの子がSNSで変な投稿をしないようにするためにはどうしたら良いでしょうか」
もしこうきからたら、出すべき答えはただ1つだ。
「お子さんにスマートフォンを持たせないことです」
最も単純で明快な方法はそれである。
アップルの創始者、スティーブ・ジョブズは自分の子供にiPadもiPhoneも触らせなかったことは知られている。
それはジョブズ自身がテクノロジーの恐ろしさを良く知っていたからである。
テクノロジーの恐ろしさを知っていたジョブズだからこそ、自分の子供にはスマートフォンもタブレットも持たせなかったということだ。
SNSの恐ろしさは承認欲求を肥大化させることにある。これは40歳を過ぎた大人でもSNSを使うことによる承認欲求の肥大化をコントロールするのが難しいのであるから、10代の多感な時期など猶更である。
残念ながらく、自分の倅のSNSを使った乱暴の未然防止には、スマートフォンを持たせないことが一番安全なのだ。
現代社会において、それが現実的でないと言われればそれまでであるが、しかしITの世界で成功しているスティーブ・ジョブズやビル・ゲイツが、子供に簡単にスマートフォンを触らせなかったことが、実はスマートフォンの恐ろしさをよく示している。
もし中高生にスマートフォンを持たせるなら、適切な使い方を中高生が示せねばならないが、残念ながら時代はまだそこまでには至っていないのである。