暇空茜の都知事選11万票の快挙に見る非リア人間の鬱屈⓶
6億円あっても婚活に失敗
写真:大阪港のフリー写真素材より
ところで暇空茜なる人物は何故ここまで支持を集めるようになったのであろうか。
そのポイントの1つが「6億円あっても婚活に失敗した」ということであろう。
6億円と言うのは資産としては充分余生を働かずに過ごせる金額ではあるが、しかしながら「婚活女子どころか頂き女子すら来なかった」と言うのが結果であったようで、恐らくこれが暇空茜自身の世間に対する復讐心の動機とも言える。
暇空と対立する人間から見れば「頂き女子すら近寄らなかった」として揶揄する部分ではあるのだが、一方で彼を尊崇する人間にとっては「6億円あっても婚活に失敗したのに自分が結婚できるわけがない」ということの正当化材料にして、いわゆる「非リアであること」の連帯感が生まれるのだ。
目の敵にされた石丸伸二
都知事選では暇空陣営から目の敵にされたのは蓮舫と石丸伸二であるが、特に石丸伸二に対する非難が激しかったと言える。
尤も、蓮舫支持者もまた石丸伸二を目の敵にしていたのであるが、取り分け石丸伸二が得意としていた戦い方がTikTokを使ってのPR戦術にあったことと無関係では無かろう。
TikTokはどちらかと言えば陽キャ用のショート動画サービスであり、短い時間の中で感情に訴えかけることができたというのが、氏の強みである。
しかし陽キャ向け動画サービスであることもあってか、恐らくこれが暇空茜の目に留まり、槍玉に挙げられるようになったのではなかろうか。
尤も、この点は蓮舫陣営の支持者からも目の敵にされており、いわゆる「イメージ戦術だけで票を取った」と言われる要因にもなっている。
少なくとも共産党と連携したことで今回の蓮舫支持者には共産党支持者も付いているが、共産党支持者はネット戦術が得意ではなく、立憲民主党としても今回の選挙でネットを上手く活用できなかったようである。
もう一つ、石丸伸二が目の敵にされる要因として、やはり容姿の面は外せない。
石破茂は石丸伸二を「おじさんぽくないイケメンで自民党にとって脅威である」と評している。
奇しくも暇空茜と同じ41歳。
イケメンと評され、リア充そうな石丸伸二に対し、非リア充の人間は思うところがあったのかも知れない。
目的である石丸の票は減らせたのか
少なくとも暇空茜陣営にとって最大の敵は石丸伸二であったと言えるだろう。
41歳同士というのが奇妙ではあるが、方や婚活に失敗し、方や容姿に恵まれながらも選択的に非婚をしている。
恐らく石丸のそうした姿が癇に障るのだとは思われるが、目的である石丸の票は減らせたのか。
答えは否である。
少なくとも暇空茜の支持層と石丸伸二の支持層は殆ど被らないと言って良い。
どちらかと言えば暇空茜の支持層は桜井誠や田母神俊雄の支持層と重なる部分があり、保守分裂を起こしただけに過ぎない。
ではもう1つ、石丸伸二を目の敵にする蓮舫陣営とその支持者はどうか。
「石丸伸二さえいなければ勝てた!!」という思いはあろうが、それもまた過信である。
石丸伸二に入ったであろう何割かは蓮舫に入ったと思われるが、せいぜい小池に入るか、投票率が下がるのみであり、小池百合子の当選は揺らがなかったであろう。
選挙後、石丸伸二の少子化対策に「一夫多妻」発言があったが、一夫多妻が実現すると結婚できない男性は増加することから、やはり暇空茜の支持者には容認できないことではなかろうか。
石丸伸二と暇空茜、41歳同士の戦いは別の構図として「リア充vs非リア充」の構図も兼ねており、結局のところリア充の勝利に終わることとなった。
筆者から見れば暇空茜の11万票は予想より5倍多かったことから、自分の予想の甘さを反省させられるが、しかしして、石丸伸二に勝てなかったという点において最も納得しなかったのは、暇空茜本人かもしれない。