3ヶ月も経たずに辞める新卒就職…企業分析が甘すぎただけでは?⓶
ブラックなら逃げた方が良いが
写真:精華町のフリー写真素材より
「新卒で入った子がもう退職した」
この退職した理由が「先輩社員が激務過ぎて全く休んでないのがヤバくて辞めた」というような理由であったなら、会社側に非があると言えるだろう。
高学歴な人間の入る大企業の三菱電機や電通でさえブラックな企業なのだから、中小企業ともなればブラックに当たる確率は高くなる。尤も、だからこそ現場の人間やマネージャークラスが面接に当たる一次面接と二次面接は、企業側の様子はしっかりと見ておいた方が良い。
面接は応募者が評価される場ではあるのだが、一次面接や二次面接の担当面接官は生き生きとしていたかは見た方が良い。
最終面接は基本的に社長や役員との面接であり、この層は「仕事が好きでたまらない人達」が多いので、最終面接から企業を見抜けることは難しい。
だが「イメージと違った」という理由で辞めて行った人間に必要なのは、退職理由ではなく、入社理由をしっかりと分析しておくことが必要だ。
それを分析しなければ、また同じ失敗を繰り返すであろう。
入社前に思っていたイメージを書き出せ
転職ならば、ある職域に特化した(スペシャリスト寄りな)人材が求められることが多いが、新卒に求められているのは「総合職(ゼネラリスト)」であることは多い。もちろん総合職に就くとも限らないが、いわゆる「こんな仕事が向いてるんじゃないか」とか「どの課長の下に付くのが良いか」など、企業側の判断で決めていくということである。
翌年卒の就活生が就労にどんなイメージを持つかわからないが、恐らくイメージ通りに行くことの方が、ずっと少ないであろう。
まして、どんな会社に入っても「正社員は覚えることが多い」というのはしっかり心得ておいた方が良い。もちろん雇用形態「正社員」でも実体は契約社員とさして仕事の質が変わらないこともあるが(雇用形態が単に労働ヒエラルキーを表すだけの会社)、覚えることはアルバイトなどと比べると、ずっと多い。
そして、一部を除き、大学で学んだことは殆ど活きないであろう。特に文系は法学以外、実務では殆ど役に立たない。単純実務能力は工業高校や商業高校の高卒就職者の方が高いことも有り得るため、そういうことも含めて「思い通りにはいかない」であろう。
「イメージ通と違った」
これで辞めるのであれば、逆に「入社前に持ってたイメージ」を具体的に書き出してみた方が良い。最低でも原稿用紙4枚分は書いた方が良いだろう。
新卒なら面接回数も3回以上あることが多いであろう。内定とて複数取るのが当たり前な世の中になっており、最終面接後も内定者面談(オファー面談)を行う企業は多い。入社後のギャップを少しでも減らすために内定者面談は設けられている。尤も、新卒の場合は企業側からの課題もあるかもしれないが。
入社したばかりなのに、もう辞めようと思っているなら、せめて入社前に企業に抱いていた具体的イメージを1600字以上で書き出すくらいはやって良い。1600字程度では少ないくらいだ。
少なくとも次の5点から分析は必要である。
⓵どんな風景で働くと思っていたか⇨実際は?
⓶面接を振り返って一次面接官や二次面接官は生き生きとしていたか
⓷どんな人と働くと持っていたか⇨実際は?
⓸何を決め手にその企業を選んだのか(そもそも決め手が無かったのか)
⓹何を実現したくて企業を選んだのか(そもそも実現したいことが無かったのか)
最低でも上記5点からは分析が必要で、かつ原稿用紙4枚以上である。
その中には「本当は大学の同級生が就職をサッサと決めて焦った」というのも入れた方が良いかも知れない。
確かに働いてみないとわからないことも多々あるが
高卒就職時はプラスチック製造の埼玉の町工場で1年半働き、佐川急便の下請け会社に3年間、内2年間は派遣会社の内勤と2足わらじを履き、東京でコールセンターを7年程度やったところで不安障害発症、川崎でSIerに転身している。
一度車載センシング案件に派遣され、常駐先の社員で転職したばかりの社員がいたが、彼は自動車整備士⇨自動車販売店⇨車載センシング事業参画という具合で、一貫して自動車に関わり続けて年収アップを実現していた。キャリアの軸がハッキリしていたのである。
キャリアの軸がハッキリしていることの大事さを学び、東京から大阪へ年収アップ案件へ転職し、底辺脱出に至ったのも、やはりこれまでのキャリアの掛け算によるものであった。
確かに実際に働いてみねばわからぬことは多々ある。だが、ゆくゆく転職するにしろ定年まで同じ会社へ留まるにしろ、新卒就職はその後のキャリアを形成する大事な一歩である。
「3年我慢しろ」などとは言わないが、辞めるなら「なぜその会社を選んだのか」はしっかり分析した方が良い。
今時点で辞めたくなったところで、その会社を選んだのは他でもない貴方である。仮に「どれだけ選択肢が少なかった」としても「少ない選択肢の中で選んだなりの責任」というものがあるものだ。
新卒就職など、どんな大学を出たところで1年目は殆ど使いものにならない。企業側もそれを見越して採用しているのである。
「即戦力でなくても良い」
これは殆ど新卒、よくて20代中盤までに許された特権だ。20代後半からはそうも行かなくなる。だからこそ「辞めたいから辞める」ではなく、なぜその会社を選び、何を実現したくて就活していたのかくらい、詳細に分析して欲しいものである。
でなければ私のようにキャリアの回り道をし、底辺を彷徨い続けることになるだろう。